ＩＳＩＳに拘束の英国人、妻が解放呼びかけのビデオを公開

ロンドン（ＣＮＮ） 英外務省は２０日、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国（ＩＳＩＳ）」に拘束されている英国人、アラン・ヘニングさんの妻バーバラさんがＩＳＩＳにあてたビデオ・メッセージを公開した。

ＩＳＩＳは１３日、英国人の人質デービッド・ヘインズさんの殺害場面を公開したビデオの中で、米軍がイラクでの空爆を続けるなら次はアランさんを殺害すると予告していた。

バーバラさんはビデオ・メッセージで、「ＩＳＩＳにはこれまで何度も重要なメッセージを送ってきたが返答はなかった」と述べた。

「夫は穏やかで私利私欲のない人。困っている人々を助けるために家族を残し、タクシー運転手の仕事を辞めて、シリアへ向かう車列の運転手を買って出た」「拘束された時も食料と水を積んだ救急車を運転していた」と訴え、「取り返しのつかないことなる前に犯行グループから返答が来ることを祈っている」と、アランさんの解放を求めた。

アランさんがシリアへ支援物資を運ぶ車列に参加したのは４回目。メンバーの中でただ１人の非イスラム教徒だった。

車列はトルコ国境でいったん止まり、１０人の先遣隊だけがシリア入りすることになった。先遣隊に立候補したアランさんは出発当日のビデオで、「必要な物が必要とされる場所に届いた時、本当にやりがいを感じる」と話していた。

アランさんはその翌日、ＩＳＩＳに拘束された。トルコ側に残ったボランティア医師は知らせが入った時のことを振り返り、「彼はイスラム教徒ではなく、ひと目で英国人と分かったため一時的に事情を聴かれただけで、すぐに解放されると思っていた」と語った。

ＩＳＩＳはこれまでに、米国人２人と英国人１人を殺害したビデオを相次いで公開している。１人目の犠牲者となった米国人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリー氏は、母親が解放を呼び掛けるメッセージを出してから数日後に殺害ビデオが流れた。