平壌(CNN) 北朝鮮から韓国へ亡命したテ・ヨンホ元北朝鮮駐英公使の姉と弟が、このほど初めて平壌でCNNのインタビューに応じ、自分の家族のために脱北したヨンホ氏のことを「人間のクズ、動物以下」と吐き捨てた。
CNNの単独インタビューは北朝鮮当局が手配した。姉弟は、自分の意思で取材に応じたと主張している。
在英北朝鮮大使館のナンバー2だったテ元公使は昨年、妻子とともに脱北した。過去約20年の間に脱北した外交官の中では最高位。CNNの取材に対し、自分の息子たちのために「隷属の連鎖を断ち切る」チャンスを逃すわけにはいかなかったと話していた。
その一方でテ氏は、北朝鮮に残してきた親族の身を案じていた。脱北者の親族は強制収容所に送られたり、北朝鮮の宣伝の道具として利用されたりすることもある。
しかしテ氏の姉で主婦のテ・オクラン氏(57)は弟のそうした発言について、「100%悪の宣伝」と言い切った。
北朝鮮に残る家族は誰1人として罰せられていないとオクラン氏は強調。「私たちの生活ぶりを見せることができて良かった」「家族全員、弟のことは絶対許さない」と語気を強める。
姉も弟も、テ氏が韓国による宣伝の道具にされ、一家に屈辱を与えたと口をそろえる。一家の墓地の管理人としてのテ氏の名は抹消し、家族としての縁も切ったと宣言。弟のテ・ヤンドゥ氏(53)は「この罪を私自身で洗い流さなければ、息子たちや末代まで、その償いのためにもっと重い労働を強いられる」と訴えた。