前線の診療所では、元米陸軍特殊部隊隊員のデーブ・ユーバンクさんがボランティア・チームとともに救援活動にあたっていた。
ユーバンクさんが数日前、イラク軍からの要請で駆け付けた現場には、脱出しようとしてISISに射殺された数十人の遺体が散乱していた。
1人の男性が泣きながらやって来て、こう訴えた。「娘が目の前で撃たれた。頭が吹き飛ばされたんだ」
ユーバンクさんが取材班に示した写真では、十数人の遺体が折り重なるように横たわっていた。だがその中に生存者の男性が1人いて、腕を動かすのが見えたという。
さらにもう1人、幼い少女が見つかった。イスラム教徒の女性が髪を覆うスカーフ「ヒジャブ」の下から外をのぞいている。ヒジャブを着けた母親は、少女のかたわらで亡くなっていた。