型破りなトランプ外交、日中の接近招く結果に
関係性の「正常化」に向けた進展は12年、両国が領有権を主張する尖閣諸島(中国名・釣魚島)を巡る民衆の抗議や報復への威嚇が高まる中で挫折した。14年の日中首脳会談での冷え込んだ空気はその最たるものだった。
同時に、戦時中の日本の中国占領に関する文化的な戦争が再燃。中国政府は戦時の残虐行為を政治問題化する一方、日本政府の国家主義者は国家の威信を取り戻すべきだと主張した。
ありそうもなかった両国関係の改善は、昨年9月、安倍首相が過去15年間で初めて中国大使館での国慶節の祝賀イベントに出席したときから始まった。
その後安倍首相と習主席は国際会議で会合を重ね、互いに関係改善への努力をたたえてきた。今年5月には中国の李克強(リーコーチアン)首相が天皇陛下に面会した。
専門家からは、トランプ氏が貿易と安全保障の問題で圧力をかける中、日中両国は米国からの「嵐」を避けようと地域内の関係円滑化を望んでいるとの見方が出ている。
前述のマクグレガー氏は「中国は友人を求めていて、日本を厚遇し両国間の厳しい戦略的な違いは大目に見ようとの姿勢につながる。同じことは、いくつかの点で日本にも当てはまる」と語る。