型破りなトランプ外交、日中の接近招く結果に
「補完性が高い」
日本国際問題研究所の客員フェロー、スティーブン・ナギー氏は、中国がトランプ政権の貿易対応を押し返すために日本の支援をほしがる一方、日本は現在の自由貿易秩序を死守したいと考えていると指摘する。
「関係性の悪化が続けば、米国市場と、(それとは別個の、閉ざされた)中国市場が存在することになる。それは日本企業のビジネスにとってコストの増加となる。彼らはこれを望んでいない」
今、両国は、少なくとも外見では、自由貿易を推進しようと躍起だ。安倍首相の訪中直前に香港の英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストに掲載された程永華・駐日中国大使のインタビューで、同氏は両国の経済は「補完性が高い」と主張する。
「我々は世界の貿易や供給網へのダメージを傍観したり、無関心でいるべきではない」「自由貿易への毅然(きぜん)とした支持と保護主義への反対を唱えるために我々は団結すべきだ」
だが、両国間の関係改善は日中に横たわる諸課題が解決されたことを意味するわけではない。関係改善も続くかどうかはわからない。
先週、中国外務省は安倍首相が第2次世界大戦の戦犯が合祀(ごうし)されている靖国神社に真榊(まさかき)を奉納した件で、安倍首相を強く非難した。
陸慷報道官は「日本が侵略の歴史に正面から向き合い、反省するように求める」と述べた。
米国の歴代大統領の方針は行ったり来たりする中、日中間の歴史と領土に関する根深い認識の違いは、まだ解決されていない。
中野教授は、トランプ氏という一時的な要因よりも、両国間の根底にある基礎的な問題がより大きな影響を及ぼすだろうとの見方を示す。