英下院、解散総選挙を否決 「合意なき離脱」阻止法案は可決
ロンドン(CNN) 英下院は4日、総選挙の前倒しを求めるジョンソン首相の提案を否決するとともに、欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」を阻止する法案を可決した。
ジョンソン氏にとっては2日で3度目の敗北。今月末の「合意なき離脱」も辞さない姿勢を打ち出していた同氏の戦略は大きな打撃を受けた。
野党・労働党のコービン党首は総選挙の提案を「女王から白雪姫に差し出されたリンゴ」になぞらえ、「合意なき離脱という毒を差し出された」ようなものだと指摘した。
一方のジョンソン氏は、コービン氏がおじけづいたと主張。「野党党首が総選挙の提案を拒否したのは我が国の民主主義の歴史の中で初めてではないか」「自分は勝てないと思っているのが明らかだ」とした。
ジョンソン氏が総選挙実施を呼び掛けた背景には、選挙で議席を積み増すことでEU離脱を巡る行き詰まりの打開につなげたい考えがあった。しかし、このもくろみは下院で手痛い打撃を受け、総選挙実施を求める動議の採決では可決に必要な434票をはるかに下回った。
ただ、コービン氏は「合意なき離脱」を阻止する法案が成立すれば総選挙に賛同するとの意向を表明。上院は徹夜で法案の審議に当たった。
上院では審議を遅らせる試みに直面する可能性が高い。与党・保守党は上院で過半数を握っておらず、さまざまな戦術を駆使して可決を阻止する構えだ。
ジョンソン氏は9日から5週間にわたり議会を閉会する計画で、上院はこの日までに法案を承認しなければならない。