ついにロックダウン解除の上海、住民の心に残る傷跡
国営メディアは1日、「ロックダウン」という単語には一切言及しなかった。短文投稿サイトのウェイボー(微博)では、国営メディアが「上海が復活」「久しぶりの上海」などのハッシュタグをつくり、何億回も閲覧されたが、いずれもトレンドのトップ10には浮上しなかった。このランキングは検閲によって厳格に管理されている。
販売管理職のロッキー・リーさんは職場に戻った数少ない1人だった。オフィスの窓から見晴らす上海の街は、以前と何も変わっていないように見えた。しかし元の上海に戻るのは難しいだろうとリーさんは言う。
「過去2カ月間の措置は真に市の評判を傷つけ、市の統治能力がいかに低いかをみんなが思い知った。多くの企業や投資家が、上海、そして中国全般に対する信頼を失った」(リーさん)
リーさんも、中流層の友人の多くも、もうこの街では安心感を感じられなくなったとして、上海を離れて海外に移住することを考えているという。
「私を自宅に2カ月間も閉じ込め、強制的に政府の隔離施設に入れ、飼い犬を殺すこともできる。ほかに何ができると? これだけのことをしておいて、人材を押しとどめることができると思っているのか」とリーさんは疑問をぶつけた。