ウクライナのヘリ操縦士、アゾフスターリ製鉄所への危険な任務について語る

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アゾフスターリ製鉄所=5月10日、ウクライナ・マリウポリ/Stringer/AFP/Getty Images

アゾフスターリ製鉄所=5月10日、ウクライナ・マリウポリ/Stringer/AFP/Getty Images

(CNN) ウクライナのヘリパイロットが、ロシアが支配する地域の奥深くまで飛行し、東部の港湾都市マリウポリのアゾフスターリ製鉄所で負傷者を救出するという大胆な任務について詳細に語った。

アゾフスターリ製鉄所はマリウポリにおけるウクライナ軍の抵抗の最後のとりでとなったが、数十人の重傷者が数週間にわたって閉じ込められていた。

ウクライナ軍が公開したインタビューの中で、パイロットはアゾフスターリ製鉄所にどうしても必要な物資を届けるために何回ものフライトがあり、ヘリ搭乗員がフライトのわずか数時間前に任務を知らされることもあったと話した。

最大の難関は何層もの対空防御だったとパイロットは指摘した。

「着陸地点をカバーする3種類の対空ミサイルシステムがあった」とのことで、全てを考慮すると任務は不可能だったはずだ。

インタビュー中、身元を隠したこのパイロットは、「90%が無事に帰ってこられないと理解していた。しかし、我々はそこ(アゾフスターリ製鉄所)で何が起こっているかを理解していた。基本的な治療を行うための薬さえなく、弾薬もなかったことを。任務を遂行することが不可欠だった。だから、皆がこのリスクを負った」と付け加えた。

あるミッションのビデオにはヘリのフライトデッキからの眺めが映っていて、海やマリウポリの港の上を超低空飛行する様子や、アゾフスターリ製鉄所につかの間着陸しているところが映っていた。

「そのとき、すでにマリウポリにいた。着陸、人や貨物の降機時は幸福感のようなものがあった」とパイロットは語った。

ただ、復路の離陸3分後、ヘリコプターに携帯式防空ミサイルシステムのミサイルが命中し、エンジン1基が故障したという。しかし、負傷者20人を乗せての緊急着陸は断念することにした。「どうやって救出するか、どうやって避難させるか。ヘリがもう1機必要だった」と語った。

パイロットは指定着陸地点まで何とか飛んだ。しかし、「残念ながら、後ろにいた別のヘリコプターは運悪く搭乗員全員が死亡した」。

ビデオはウクライナ治安当局のテレグラム・チャンネルで1日に公開された。

「この特別作戦は、国防省の情報機関のスペシャリストとアゾフ連隊によって実行された。必要な装備を積んだ16機のMi―8軍用ヘリが、アゾフスターリ製鉄所でロシア軍に囲まれたマリウポリの防衛隊の元へと飛んだ」と説明されている。

「このような任務は計7回あった。ヘリコプターは毎回、食料、飲料水、医薬品、弾薬を自陣から100キロ以上離れた防衛隊に届けることに成功した」という。

ゼレンスキー大統領は先月20日、これまで公表されていなかった作戦に言及し、「残念ながら、多くの人が亡くなった。我々のパイロットだ。アゾフスターリ製鉄所に飛び、そこに薬や食料、水を運び、負傷者を収容することがほとんど不可能であることを知っていた、実に英雄的な人たちだ」と述べた。

「90%が戻ってこないとわかっていながら、パイロットはヘリコプターに乗り込み飛行した。この人たちが何をしていたのか、想像してほしい。あのような場所へ飛んでいたのだ。我々は多くのパイロットを失った」とゼレンスキー大統領は語った。

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