ロシア、近く最大級の戦果喪失か ヘルソン州で民間人の移転強化
18日、避難を呼び掛ける言い回しは新たな水準に到達した。ロシアの支援するヘルソン州政府の幹部、キリル・ストレムソフ氏は自身のテレグラムチャンネルに投稿した動画の中で「西側の後押しを受けたウクライナのナチスがすぐにもヘルソンへの攻撃を開始する」「右岸(ドニプロ川西岸)地域からの退去を強く勧告する」と述べた。
翌19日午前8時には、「可能な限り迅速に」ドニプロ川左岸へ渡るよう指示。それから数時間後、州政府は右岸へのあらゆる進入経路を7日間に渡って閉鎖する措置にまで踏み切った。
ウクライナの当局者は、ヘルソン市に現在残っている民間人の数について、人口の半数に満たない13万人前後とみている。
ロシアを後ろ盾とするヘルソン州のサルド知事は18日夜、ロシア国営テレビの取材に対し、5万~6万人をドニプロ川の右岸から左岸に移動させる計画だと明らかにした。
ヘルソン州から逃れているウクライナ側の指導者らは、ロシア側が「ヒステリー」をあおり、住民を怖がらせていると非難。ロシアへの「自主的な国外退去」を実施していると訴えた。ロシア側では、移動してきた住民への住居の支援を約束している。
欧州安全保障協力機構(OSCE)は7月の報告書で、ロシアによる「大規模な民間人の国外退去」について、人道に対する罪に問われる可能性があると指摘した。9月には国連の安全保障理事会も、ロシアによる250万人に対するウクライナからの強制的な退去は人権侵害に該当すると明言した。退去した人々には3万8000人の子どもたちも含まれる。