レイプ犯を無罪に、被害者女性との結婚「合意」で パキスタン
パキスタン・イスラマバード(CNN) パキスタンの裁判所は26日、強姦罪で有罪判決を受けた男が被害者の女性と結婚することで「合意」したことを受け、この男に無罪判決を言い渡した。男の弁護士が明らかにした。この判決に対し人権活動家は、同国で性的暴力が常態化する恐れがあると強く批判している。
弁護士によると、ダウラット・カーン被告(23)は2020年にカイバル・パクトゥンクワ州北東部スワートで聴覚障害を持つ女性(36)を強姦したとして、今年5月に有罪判決を受けた。
カーン被告は終身刑を宣告され、さらに罰金10万ルピー(約5万8000円)を科されたという。被害女性は後に出産したと同弁護士は付け加えた。
ペシャワール高裁は26日、カーン氏と被害者の女性が、地元の評議会「ジルガ」による裁判外の和解の後、正式に結婚したことを受け、カーン氏に無罪判決を言い渡した。ジルガは年配の男性で構成される評議会で、シャリア(イスラム法)に基づいて決定を下す。
パキスタン人権委員会(HRCP)は、ペシャワール高裁の判決は「完全な法律違反」であり「誤審」だと非難し、国はこの判決に対して控訴し、女性の権利を守るという公約を守るよう強く求めるとの声明を発表した。
HRCPによると、パキスタンでは昨年5200人以上の女性がレイプされたと訴えたが、恐怖心から訴えない被害者も多く、実際の被害者数ははるかに多い可能性があるという。