1発1900円の防空システム?、レーザーで安価なミサイルや無人機に対抗か
防衛業界では近年、防空ミサイルのコストが盛んに議論されている。ウクライナの戦場や、イエメンの反政府武装組織フーシによる紅海やアデン湾の艦船攻撃で、低コストのドローン(無人機)が有効性を示していることが背景にある。
アナリストの間では、米英やパートナー国がどれだけの間フーシの安価なドローンに高価なミサイルを使用し続けることができるのか、疑問視する声も出ている。フーシのドローンは10万ドルをはるかに下回るコストで調達できるケースもある。
米ランド研究所の欧州部門幹部、ジェームズ・ブラック氏は1月、「低コストのドローンとロケットは攻撃と防御の経済的な計算を変化させ、大量の安価な無人兵器を使って高度な防空・ミサイルシステムを圧倒する方が有利になった」と説明。ドラゴンファイヤの登場で、再び英国有利の状況に揺り戻しが来る可能性に言及した。
ただ、ブラック氏らの専門家らは、ドラゴンファイヤのようなレーザーはまだ戦場での有効性が証明されておらず、限界にぶつかる可能性があるとも指摘する。
米コロラド大国家安全保障イニシアチブセンターでディレクターを務めるイアン・ボイド教授は、レーザーの問題の一部を列挙。
雨や霧、煙が光のビームを散乱させる▽レーザー兵器は大量の熱を発生させるため、大型の冷却システムが必要になる▽船や航空機に搭載された移動型レーザーはバッテリー充電が必要になる▽レーザーの熱で穴を空けるには、移動する目標に最大10秒間照射する必要がある――といった点を挙げた。