虐待報道の収容所、イスラエル最高裁が閉鎖を検討
エルサレム(CNN) イスラエル南部のネゲブ砂漠にあるスデ・テイマン基地の収容施設でパレスチナ人が虐待されているとの報道を受け、イスラエル最高裁で5日、同施設の閉鎖が初めて検討された。
この施設には、イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が始まった昨年10月以降、パレスチナ自治区ガザ地区で拘束されたパレスチナ人が収容されている。
CNNは5月10日、同施設についての調査結果を公表した。内部告発者の話によると、目隠しや極端な身体拘束が横行し、手錠をかけられたけがが原因で手足を切断されるケースもあるという。
これはイスラエル紙が4月、スデ・テイマンで働く医師からの書簡として伝えた内容とも一致していた。
施設の中は数十人を収容する区画と野戦病院に分かれ、病室では負傷した拘束者がベッドに縛り付けられている。目隠しとおむつを着けられ、食事はストローで与えられるという。
米ホワイトハウスはCNNが報じた内容に「深い懸念」を示し、イスラエル当局に説明を求めていると述べた。
ドイツ外務省も非難声明を出し、国際赤十字に収容施設への立ち入りを要請した。
拷問に関する国連特別報告者、アリス・ジル・エドワーズ氏はイスラエルに対し、拘束中のパレスチナ人に対する拷問や虐待の実態を調査するよう求めた。
イスラエルの人権団体などは、報道内容を根拠に同施設の閉鎖を求めてきた。
イスラエル政府は先月20日、人権団体への回答として、軍事施設全般に収容する人数を削減すると表明。特にスデ・テイマンについては、当初の受け入れや尋問、振り分けなど、短期間の収容に特化した施設とする方針を示していた。
イスラエル軍のハレビ参謀総長は先週、スデ・テイマンのほかエルサレム郊外のアナトット、ヨルダン川西岸オフェルの軍事収容施設について、虐待疑惑の調査を開始したと述べた。今月中に調査委員会がハレビ氏に提言を示す予定だという。