南ア大統領、「誤情報」めぐりイーロン・マスク氏と協議
(CNN) 南アフリカのラマポーザ大統領と米実業家のイーロン・マスク氏が「南アフリカに関する誤情報や歪曲(わいきょく)の問題」について協議を行った。南アフリカ大統領府が4日、明らかにした。
大統領府によれば、ラマポーザ氏は話し合いの中で、南アフリカには法の支配や正義、公平、平等の尊重という憲法に組み込まれた価値観があると改めて伝えた。
大統領府によれば、ラマポーザ氏とマスク氏との話し合いは3日に行われた。前日の2日にはトランプ米大統領が南アフリカでは白人の農業従事者が不当に扱われているとして財政支援を取りやめると警告していた。
トランプ氏は、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、南アフリカは土地の接収を行い、一部の人々に対する扱いが非常に悪いとし、完全な調査が行われるまで、南アフリカに対する全ての資金提供を停止すると述べた。また、南アフリカでは大規模な人権侵害が起きているとしたが、詳細や証拠については明らかにしなかった。
ラマポーザ氏は3日、こうしたトランプ氏の主張を否定していた。
トランプ氏のこうした主張は2018年までさかのぼるもので、南アフリカの複雑な土地改革に起因する。
南アフリカでは過去の人種差別的な政策により、黒人や非白人の南アフリカ人は、白人の土地の利用のため、強制的に排除されていた。南アフリカがアパルトヘイト(人種隔離)政策の時代から脱却して、1994年に初めて民主的な選挙を実施して以降、憲法には土地の再配分や賠償に関する規定が盛り込まれた。
だが、人口の約80%を占めながら土地の所有がわずかにとどまる黒人の間で失業と貧困は依然として深刻な問題だ。
ラマポーザ氏は今年1月、新法に署名した。新法の指針では一部のケースでは、政府は補償なしに土地を収用できるとされている。