トランプ関税の余波、香港にも メーカーは先行き不透明で「様子見モード」か
香港(CNN) 毎年恒例の展示会が香港で開幕し、ロボットの動きや目を見張るような新製品、会場を埋め尽くす来場者など活況を呈している。だが、本来は活気に満ち、主に中国のメーカーが製品を売り込む機会となっている展示会に暗い影を落としているのが、先行きの不透明な米中間の貿易戦争だ。
米中間の貿易戦争は急速に激しさを増し、トランプ米大統領は中国からの輸入品に145%の関税を課した。中国側は報復として、米国からの輸入品に対して125%の関税を課している。
展示会の複数の出展者は、世界1位と2位の経済大国による瀬戸際政策が世界経済に対して危機を及ぼし始めていると指摘する。
コンピューターのキーボードやマウスの製造を手掛ける企業の営業部長リュウ・トンヨンさんにとっても状況は厳しい。製造業が集まる広東省東莞市に本社を置く同社は、米中間の貿易の連携から恩恵を受けてきた。しかし、激しさを増す貿易戦争によって大きな打撃を受けている。
米税関・国境警備局(CBP)は11日、米国に輸入される電子機器はトランプ大統領の「相互関税」から除外されると通達した。その後、米ホワイトハウスは、この免除は一時的なものだと明らかにした。しかし、リュウさんの会社が作るキーボードやマウスはこの免除から外れているようだ。
リュウさんはCNNの取材に対し、関税戦争によって経済の見通しが不透明になり、今年に入ってから同社の売り上げが約20%減少していると明らかにした。「全員が様子見モードだ。在庫があるなら、すぐに新規発注する可能性は低いだろう」
リュウさんによれば、米市場が同社の売り上げの30%を占めているため、関税によって、さらなる費用削減の圧力が高まっている。しかし、選択肢はほとんどない。「単価をこれ以上引き下げる余地は全く残っていない。長年にわたって中国の製造業はすでに費用を限界まで引き下げてきた」
さらに、生産を海外に移転することも現実的な選択肢ではないという。これは、海外でのサプライチェーン(供給網)とエコシステムが不足しているためだ。