AI作品が絵画コンテストで優勝、アーティストから不満噴出

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ジェイソン・アレンさんがAIを使って制作した絵/Courtesy Jason M. Allen

ジェイソン・アレンさんがAIを使って制作した絵/Courtesy Jason M. Allen

(CNN Business) 人工知能(AI)を使って制作した絵画がコンテストで優勝作品に選ばれたことをきっかけに、芸術作品がコンピューターで生成できるのか、そして芸術家とは何かという論議が巻き起こっている。

ジェイソン・アレンさん(39)はコロラド州プエブロウェスト在住のゲームデザイナー。同州の美術コンテストに出品した作品が8月、新人アーティスト部門の「デジタルアート・デジタル加工写真」分野で1位に選ばれた。

優勝作品の「Theatre D'opera Spatial」は、文章で指示した通りの画像を生成できるAIシステム「ミッドジャーニー」を使って制作したものだった。アレンさんは賞金300ドル(約4万3000円)を獲得した。

「私はこの画像にうっとりした。みんなに見てもらいたいと思った」。アレンさんは2日、CNN Businessの取材にそう語った。

作品はアレンさんが出品した3枚の中の1枚で、ルネサンス絵画とSF調の絵画を組み合わせたような作風だった。この部門には11人が18作品を出品した。

同部門では、デジタルアートを「制作あるいはプレゼンテーションの過程でデジタル技術を使った作品」と定義していた。アレンさんは、ミッドジャーニーを制作に使用したことを応募の時点で明記していた。

AI画像生成ツールはグーグルなども開発しているが、一般には公開していないグーグルと違って、ミッドジャーニーは誰でも利用できる。その目新しさもあり、AIは真の芸術作品を制作できるのか、それとも人による制作を支援するものなのかという論議が巻き起こった。

アレンさんの作品が1位を取ったことで、この問題が脚光を浴びた。アレンさんが8月25日、ミッドジャーニーを提供するディスコードのサーバーに出品作品3枚を掲載して優勝を発表すると、ツイッターで話題になり、アーティストからはAIで制作した作品が1位を取ったことに対する怒りの声も噴出した。

「ムカついた。ロボットをオリンピックに出場させないのとまったく同じ理由だ」といったツイートもあった。

これに対し、制作には相当の手をかけたとアレンさんは訴える。

ミッドジャーニーでは、例えば「怒ったイチゴの油絵」といったフレーズを入力すると、複数の画像がわずか数秒で制作される。しかしアレンさんが出品した3枚の作品を完成させるまでには80時間以上を要したという。

アレンさんはまず、フリルのドレス姿で宇宙ヘルメットを着けた女性の画像をミッドジャーニーに生成させた。ビクトリア調の衣装と宇宙のテーマを融合させる狙いだった。時間をかけながら指示言葉に微調整を加え(光の具合や色調など)、900のバージョンを作成して最終的に3枚の画像を完成させた。

次に画像編集ソフトの「フォトショップ」を使って3枚の画像の仕上げを行い、受賞作品についてはミッドジャーニーが生成した画像の女性に頭がなかったことから、ウェーブの黒髪の頭を書き足した。その後、「ギガピクセルAI」という別のソフトを使って解像度を上げ、近くのプリントショップでこの画像をカンバスに印刷した。

芸術作品の制作にAIが使用できるかどうかという論議が巻き起こったことは歓迎するとアレンさんは言い、「技術やその背後にいる人を嫌うより、これがパワフルなツールだと認識する必要がある。私たちみんながふてくされていないで前進できるように」と話している。

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