米小売り大手ターゲットに40日のボイコット運動、DEI後退に消費者が反発

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米小売り大手ターゲットに40日のボイコット運動

ニューヨーク(CNN) 米小売り大手ターゲットがDEI(多様性・公平性・包括性)の取り組みを後退させたことに抗議して、消費者に40日間の不買を呼びかけるボイコット運動が5日から始まった。

ボイコットはアトランタの教会の著名牧師ジャマール・ブライアント氏が、キリスト教の受難節の始まりに合わせて開始した。「ターゲットから離れるよう人々に求める。彼らは我々のコミュニティーに背を向けた」と同氏はCNNに放している。

今回のボイコットは、関税の影響や困難な経済情勢の影響がのしかかる同社に追い打ちをかけている。

ターゲットはドナルド・トランプ大統領が就任した数日後の1月24日、マイノリティー従業員の雇用目標を撤廃し、人種の公正に焦点を当てた執行委員会を終わらせるなど、多様性を推進する取り組みの変更を発表した。その上で、従業員や客、地域社会の帰属意識の醸成に尽力すると述べ、「外部環境の進展に歩調を合わせる」必要があると強調した。

米国では大企業のDEI撤廃が相次ぐ。トランプ政権は「違法なDEI」について捜査すると述べ、刑事事件として立件する可能性もあると企業に対して脅しをかけた。企業は多様性を追求する取り組みの推進と、保守による法的な弾圧を免れる対応の間で板挟み状態にある。

そうした中でもターゲットは特に強い反発に遭っている。同社の決定に対してネット通販の利用者が抗議行動を起こし、ターゲット共同創業者の娘のアン・デイトン氏とルーシー・デイトン氏は「裏切り」と反発した。

ウォルマートといった同業他社に比べてもターゲットに対するプレッシャーは大きい。DEIの取り組みはターゲットの方が先進的で、客層も他社に比べて進歩的な傾向が強かった。

本社のあるミネソタ州ミネアポリスでは2020年に黒人男性が警察に殺害される事件が発生。これを受けてターゲットは率先してDEIの取り組みを推進した。LGBTQ(性的少数者)に関しても進歩的な採用を行っているという評判が高かった。

ターゲットはCNNの取材に対し、ボイコットに関するコメントは避けた。同社広報は、今も包括性には尽力しており、黒人やマイノリティー業者の品目を含めて幅広い商品やサービスを提供していると強調した。

それでも業績が打撃を受ける兆候は出始めている。

電話の位置情報を使って来店数を調べているPlacer.aiによると、ターゲット、ウォルマート、コストコの来店客は過去4週間で減速しているが、ターゲットは最も落ち込みが大きい。来店客の減少には天候や経済情勢などの要因も絡んでいる可能性がある。

アナリストのジョセフ・フェルドマン氏によれば、ターゲットはDEIから後退した後の1月下旬から2月中旬にかけ、来店客が目に見えて落ち込んだ。

ターゲットにはトランプ関税の影響や消費者の買い控えの影響ものしかかる。同社は4日、2月の売り上げが減少し、今年の売り上げは1%程度の増加にとどまるとの見通しを示した。

ターゲットのブライアン・コーネル最高経営責任者(CEO)は4日のCNBCのインタビューの中で、トランプ大統領のメキシコに対する関税の影響で、今週中にも果物や野菜の値上げを余儀なくされるかもしれないと予想した。

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