北極圏の海水を凍らせ、海氷の厚みを増すプロジェクト 有望な結果も科学者は「深刻な影響」懸念

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実地試験中に水中ポンプのテストを行うリアルアイスのメンバー=2023年2月、米アラスカ州ノーム/Real Ice

実地試験中に水中ポンプのテストを行うリアルアイスのメンバー=2023年2月、米アラスカ州ノーム/Real Ice

動物の移動経路や船舶の航路を避けるよう慎重に配置したうえで、最大で約50万台のドローンを使用する試算だという。

チェッコリーニ氏は計画通りに進めば8年から10年以内に規模を拡大できると予想する一方で、約100万平方キロの氷を厚くするには年間50億~60億ドル(約7600億~9200億円)の費用がかかるとみる。

「極めて疑わしい」

ウッドウェル気候研究センターの上級科学者ジェニファー・フランシス氏は、科学として信頼できるとしながらも、気候危機に何らかの変化をもたらすのに十分な海氷を長期間にわたって成長させることができるかどうかは甚だ疑問だと語った。

ブリストル大学で極地環境変化を研究するリズ・バグショー准教授はこのソリューションについて「非常に疑わしい」と話す。また、脆弱な地域に広範囲にわたる生態学的影響が及ぶ可能性についても警告した。

米アラスカ州での試験は過酷な環境における装置の耐久性を確認することを目的として行われた/Real Ice
米アラスカ州での試験は過酷な環境における装置の耐久性を確認することを目的として行われた/Real Ice

氷の厚化を含む極地の地球工学プロジェクトについては、数十人の科学者が最近の報告で懸念を表明している。北極における「前例のないレベルの人間の存在」による環境への影響など「予期せぬ重大な結果を招く可能性」があるという。

チェッコリーニ氏は、プロジェクトが海洋環境に変化をもたらす可能性を否定していない。しかし氷の厚さによって影響を受けうる藻類の成長に注目しているものの、全体的な影響は限定的だと考えている。

同氏はプロジェクトの将来について、氷の厚化が有効で、重大な副作用をもたらさないことを証明できるかどうかにかかっていると述べた。

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