米国の格差拡大、FRBのせい? 元議長らから反論
FRBは史上初めてゼロ金利近くまで金利を下げたほか、数兆ドル規模の債券を購入するなどできるだけのことをした。この結果、FRBは「第4の政府機関、おそらく最も機能している機関」になった。こう指摘するのは、アリアンツ・グローバル・インベスターズの米国担当投資ストラテジスト、クリスティーナ・フーパー氏だ。
こうしたFRBの施策などの結果、株をはじめとするリスク資産は回復。株式を保有する富裕層だけでなく、年金ファンドなどを通じて市場とつながりがある多くの米国人にとって良いニュースとなった。
ただ、労働市場は回復が遅れ、所得格差の問題を深刻化させることになった。フーパー氏によれば、これは金融政策が「欠点のある」道具であることを示している。金融政策ではなく財政刺激策の方に注力していれば、雇用の回復はより力強いものになっていたはずだという。
FRBのベン・バーナンキ元議長もこの点を強調している。同氏はこのほど、ブログ上で「もし財政政策担当者が景気回復と雇用創出に向けてより大きな責任を担っていたならば、金融政策がこれほど積極的になる必要はなかった」と主張した。