米国ではしかが流行、感染者600人に迫る 都市部や保育施設での拡大に懸念
(CNN) 米国で複数の州にまたがるはしかの集団感染が拡大し、感染者数が600人に迫っている。専門家は「これは始まりに過ぎない」と警鐘を鳴らす。
8日時点で、テキサス州では505例、ニューメキシコ州では56例、オクラホマ州では10例の感染が報告された。カンザス州では24例の感染が確認されており、州保健局は同じ流行に関連している可能性があるとしている。
流行の発端はテキサス州ゲインズ郡の農村部で、同州内では21郡に広がっている。地元当局は、都市部など新たな地域や脆弱(ぜいじゃく)な集団への感染拡大を懸念している。
ラボック市の衛生当局幹部のキャサリン・ウェルズ氏は8日、「スーパーマーケットやショッピングモールなど、多くの人が集まる場所での感染が心配だ」と述べた。人口密度が高い都市部では1人の感染者が多くの人にウイルスを広げる可能性があるという。
これらの地域では、誰が感染リスクにさらされているのか、誰が隔離を必要とするのかを迅速に把握する必要があるとウェルズ氏は強調した。しかし、米疾病対策センター(CDC)からの資金が削減されたことで疫学調査や検査体制に影響を与えていると一部自治体は訴えている。
ラボック市では、保育施設でのはしかの流行により5歳未満の子ども7人が感染している。この年齢層は、はしか・おたふくかぜ・風しんの三種混合(MMR)ワクチンの2回目の接種がまだ受けられないことが多く、特に脆弱な集団だとされる。
通常、CDCは12〜15カ月で1回目、4〜6歳で2回目の接種を推奨している。
はしかは感染力が非常に強く、米国内にはワクチン接種率が低い地域も多いため、専門家はこの流行が1年以上続く可能性もあると見ている。感染が12カ月以上続けば、米国が2000年に取得した、はしかの「排除国」の地位が失われる可能性がある。
今回の感染拡大では、ワクチン接種率の低い「メノナイト」の地域が中心となっているため、実際の感染者数が把握しきれていない可能性もあるという。
これまでに、はしかの流行に関連して、テキサス州の学齢期の子ども2人とニューメキシコ州の成人1人(死因は調査中)の計3人が亡くなっており、全員がワクチン未接種だった。