3人の目は画面にくぎ付けになり、互いに抱き合って涙を流した。17歳になった娘サラテュさんの姿を見付けた母親は、娘の名を呼び、コンピューターの画面に手を伸ばした。
画面には15人の少女が長いローブとスカーフで頭部と全身を覆った姿で映り、サラテュさんはじっとカメラに視線を向けていた。母親は「できることなら娘をこの画面から取り出したい」とつぶやいた。
ビデオは昨年12月、政府とボコ・ハラムの交渉の過程で撮影されたものと思われる。娘が生きていることを親に知らせ、政府の対応を促したいと考えた人物が公表した。
少女は1人ひとりが大写しになり、男の声で「名前は? 学校名は? 連れ去られた場所は?」と問われると、冷静な様子で名前やチボックの公立高校から連れ去られたことなどを説明している。感情はほとんど表に表さなかった。