コロナ禍で世界の1億人近くが貧困に、貧富の格差は拡大
何千万もの人が貧困に追い込まれる一方で、超富裕層はますます裕福になっている。「世界不平等研究所」によると、億万長者の財産は昨年、過去最高の伸びを記録した。
オックスファム・インターナショナルが1月に発表した年次格差報告書によれば、世界長者番付トップの1000人がパンデミックの間にわずか9カ月で資産を取り戻したのに対し、最貧層が資産を取り戻すのには10年以上かかる見通しだ。
アジアとアフリカの貧困問題に取り組む非営利組織BRACインターナショナルのシャメラン・アベド代表は、貧富の格差拡大に言及し、「世界で最も裕福な3人」だけで世界の超貧困層を一掃できるだろうと語った。
アベド氏は英国の議員と連携し、「貧困は政策的選択」だと論じて貧困問題に関する「緊急事態」を宣言するよう働きかけている。
最初に取り組むべき課題はワクチン接種だと専門家は指摘する。富裕国の多くは国民に繰り返し接種を受けさせるためのワクチンを買いだめる一方で、途上国に分配するという約束は果たしておらず、「ワクチン格差」は重大な問題になっている。
バングラデシュのロイさん夫妻の生活は改善しつつある。アベド氏の団体の支援で4万タカ(約5万3000円)の融資を受け、生計を立てるためにワゴン車1台とヤギ1頭を購入。プラディップさんは車を運転して乗客を乗せ、1日に約6ドル相当を稼ぐ。都会に戻る計画はなく、お金をためて牛を買い、農地を手に入れたいと話している。
未来への希望を取り戻したディパリさんは、6カ月になった息子を大学院に進学させる夢を思い描く。プラディップさんは「私たちのように底辺まで落ちた人がたくさんいる。そうした人たちに寄り添うことができれば、彼らも私たちのように、また立ち上がることができる」と語った。