湖の放流と決壊で集落が孤立、住民に迫る命の危険 パキスタン
別の村の住民は、マンチャール湖の放流は完全に不意打ちだったと訴え、ひざまで泥水につかりながら「作物も家も破壊された。放流はいきなり行われて、私たちは知らなかった。誰も私たちに知らせてくれなかった」と話した。
この男性の周りでは畜牛がほぼ完全に水に浸かり、頭だけを空中に出してあえいでいた。
多くの住民は、さらなる洪水の危険がある中でそのままとどまり続けるか、自宅を離れて別の場所に避難するかの選択を迫られている。
欧州宇宙機関(ESA)の衛星画像は、記録的な大雨の影響で過去2カ月の間にマンチャール湖が膨れ上がり、周辺の数百キロ平方メートルを覆った様子をとらえている。湖にあった島や半島は消滅し、周辺の陸地はのみこまれていた。
衛星画像がとらえた湖は、放流後も水位が高いままの危険な状態が続いていた。近隣の村の窮状が一層深刻化することも予想される。
湖の下流にある村の住民(35)は、危険な状態が続いていると政府から警告されたといい、「ほかに手段はないと告げられた。しかし私たちの地域は水没した」と訴えた。