「死んだ方がよかった」 絶望感募らせる被災者、国際支援見通せず シリア
シリア北西部イドリブ県(CNN) 生後3カ月のモハンマド君は、独りぼっちで集中治療室にいる。小さな頭と顔は包帯に覆われ、チューブで人工呼吸器につながれた状態で、苦しそうな呼吸を続けている。
6日に起きたマグニチュード(M)7.8の地震で両親をなくしたモハンマド君は、近所の人に発見され、病院に運ばれた。シリア反体制派が最後の拠点としている北西部のイドリブ県。地震から数時間で、この病院だけでも700人の患者を受け入れた。
ロシアとシリア政府による爆撃が何年も続いた後、残された数少ない病院は、これほどの規模の緊急事態に対応できる状態にない。北西部全域の医療機関が患者であふれ、負傷者は廊下や床に寝かされている。
保健当局によると、シリアでこれまでに確認された死者4574人のうち、3160人以上は北西部の反体制派支配地域で死亡した。
シリアの状況は隣国トルコとは対照的だ。トルコには数十カ国の政府や国際団体が救助隊を派遣し、寄付や援助を寄せている。一方、シリア北部の被災地への緊急支援物資輸送は、長年にわたって続く反体制派とシリア政権との衝突に阻まれている。
この地に実質的な国際援助はほとんど到達せず、医師たちはなすすべがない状態だ。
生後3カ月のモハンマド君の両親は地震で亡くなった/Kareem Khadder/CNN
手で泥やがれきをかきわける住民/Pete Langley/CNN
シリア系米国人医療協会(SAMS)が運営する病院でCNNの取材に応じたアフマド・アラブド医師は、「我々は戦争の負傷者に対応していたが、これほど大勢の死傷者への対応を迫られたことはなかった」と話す。
SAMSなどは国際社会に緊急支援を呼びかけているが、ようやくわずかな支援が届き始めたのは週末になってからだった。あまりに少なく、あまりに遅すぎた。
「我々は支援を呼びかけたが、反応はなかった。特に重要な最初の2~3日は」「医療物資が不足していたために、大勢の患者を失った。もしそれがあれば、もっと多くの命を救えていた」(アラブド医師)