「手術必要な患者は死ぬ」 ガザ最大の病院、手術室も新生児室も機能停止
(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区最大の病院、シファ病院で、電力が途絶えて手術室が1つも使えなくなった。病院長が12日、現地のテレビ局に明らかにした。
病院長のムハンマド・アブサルミヤ医師は「手術室は完全に機能しなくなった。けが人が来ても応急処置しかできない」「手術が必要な患者は死ぬ」と話している。
病院長によると、早産児は酸素が底を突いたために新生児室の保育器から出さなければならず、体を温めるためホイルでくるんでお湯を隣に置き、命をつなごうとしているという。
集中治療室(ICU)や新生児室にいた子どもはこの1日の間に数人が死亡したと病院長は話している。
世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は、シファ病院は3日前から電気がなくなったとSNSに投稿し、「残念ながら同病院はもはや病院として機能していない」とした。
イスラエル軍は、12日に燃料300リットルをシファ病院の入口に置いたが、病院による回収をハマスが妨害したと主張した。
病院長は、確かにイスラエル当局から燃料を提供するという電話があったものの、スタッフが怖がって取りに行けなかったと説明。イスラエル側が提供を申し出た燃料は、30分しか発電機を動かせない量だったとしている。
イスラエル国防軍(IDF)は、病院の入口近くの歩道に兵士が燃料の容器を置く場面とする映像を公開した。また、燃料の回収を許さなかったとして病院関係者が保健省のハマス指導者を非難したとする音声も公開している。
ハマスはこれを否定し、イスラエルの燃料提供は宣伝目的のプロパガンダだと主張した。
アブサルミヤ医師は、回収できなかったのはイスラエルの戦車がいたためだと訴え、「燃料は1滴でもほしい。だが私は国際赤十字か国際機関経由で届けてほしいと(IDFに)告げた」と話している。