初期の人類が氷河期を生き延びるのに役立った道具、米遺跡で発見

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骨の再構成とマイクロCTスキャンによりさまざまな動物の骨の違いが明らかになった/Pelton et al., 2024

骨の再構成とマイクロCTスキャンによりさまざまな動物の骨の違いが明らかになった/Pelton et al., 2024

そうした低い気温のなかを生き抜くために、人類は恐らく、雨風から身を守るために縫い目をしっかりと縫い合わせた衣服を作ったと考えられている。しかし、衣類は傷みやすく、衣類を縫製した針を除けば、ほとんどこの時代の記録としては残っていない。

ペルトン氏は、そうした気候ではイヌイットによって作られたような非常に丈夫に仕立てられたパーカが必要だっただろうと指摘。「袖やフードの周りに毛皮の縁が組み込まれていた可能性が高く、そのことが、そもそも人々がキツネやネコ、野ウサギなどの動物を捕獲していた理由なのではないかと考えられる」

研究によれば、針が発明される前は、人類は、千枚通しと呼ばれる先のとがった道具を使って作られた、よりゆったりとした衣服を着用していた可能性がある。こうした衣服は縫い目の間隔が広く、粗い穴が開いていたと考えられる。針のおかげで衣服を飾ることも可能になり、米州大陸で見つかったウサギの骨から作られた最古のビーズも以前、同じ場所で発見されていた。

キツネやヤマネコは、やりなどの従来の狩猟道具を使って殺すのは難しいため、ペルトン氏は、石器時代の狩猟ではわなで小型の肉食動物を捕獲していたのではないかとみている。ただ、北米のこの時代の遺跡では、動物をわなにかけた直接の証拠は見つかっていない。

豪シドニー大学のイアン・ギリガン名誉助教授(考古学)は、初期の人類が犬やネコ、野ウサギの小さくて薄い脚の骨を使って針を作っていたことは理にかなっているとの見方を示した。ギリガン氏は、今回の研究に関与していない。

ギリガン氏によれば、そうした動物の脚などの骨は一般的に適切な大きさと形状をしており、針を作るのに比較的簡単な作業で済む。主に、一方の端をとがらせ、反対側の端に穴をあけるだけだ。

ギリガン氏によれば、こうした動物のほかの骨は太かったり、まっすぐではなかったりするし、バイソンのような大型の動物の骨を針に変えるにはさらに多くの作業が必要となる。狩猟採集民族にとって、服を縫うための針を作るのは時間のかかる作業であるため、針の製造をより効率的に行う戦略は生き残るうえで有利になる。

研究によれば、暖かく体にぴったり一致する衣服を身に着けた人類は、低体温症や暴露による脅威のためにそれまでは立ち入ることのできなかった場所へも行動範囲を広げる能力を備えることになり、針穴つきの針は先史時代の重要な技術革新となった。

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