中国の少数民族文化の現状、観光商業化と消えゆく言語
中国には55の少数民族が存在する。しかし国際的な注目を浴びるのは、漢民族との衝突を繰り返す西部のチベット族とウイグル族の2民族のみ。それ以外の民族は中国各地に分散し、トン族のように山間部の集落にまとまって貧しい生活を送っている。
漢民族との対立が表面化することはほとんどなく、少数民族は中国政府の1人っ子政策に縛られることもない。それでも独自の文化的アイデンティティーを確立することは難しくなっている。
中国政府は民族の多様性を誇示することには前向きだが、全体的には徐々に同化傾向を強めていると指摘するのは、米マイアミ大学のトイフェル・ダイアー教授。「文化の保全を装った破壊が行われている」「自分たちの民話が中国共産党の理想に沿って書き換えられていると訴える人たちもいる」と話す。
伝統文化は若い世代が現代的な生活様式になじむことでも薄れつつある。