中国で進む「改革」 その現状は
世界銀行によると、環境汚染が経済に与える損害は、国内総生産(GDP)の9%に及ぶとされている。
最後に、習政権の施策として最も重要なのが、経済改革だ。中国共産党は昨年11月、政府が引き続き経済を管理していく方針を示す一方、市場が「決定的な」役割を果たすことも認めた。資源配分にあたって政府の介入を減らし、国営企業への民間セクターの投資を増大させる姿勢を打ち出したのである。
驚くべきなのは、李克強(リーコーチアン)首相が3月の全国人民代表大会(全人代)で表明した改革優先路線だ。
この中で李首相は、今年の目標成長率を7.5%に据え置くとともに、経済成長が改革の流れを止めることはないと明言したのである。これまでは、雇用拡大のため経済成長が優先され、改革は後回しにされるのが常だった。
もっとも、明確にしておかなければならないが、今のところ、経済改革といってもあくまで口約束にすぎず、実行に移されたものはほとんどない。さらに、次々に改革案が提示される中でも、依然として欠けている点がある。政治改革だ。
民主政治や多元主義に向かう動きはまだ少ない。中国共産党の力を弱めるのではなく、むしろ党の正統性を強化することが改革の狙いとなってしまっているためだ。